脚本解説「野に開く花のように」

「野に開く花のように」は魔女裁判のことを少し扱っています。

ですが、まったくこの件に関しては調べていませんので想像です。

一応言っておかなければいけないんでしょうね。

フィクションです。作り話です。

出てくる宗教はキリスト教でもなければ、

それに関連する現実のどの宗教とも関係ありません。

これも想像上の宗教です。

宣教師は任務次第で神父になることもあります。

また彼らは伴侶を得ません。

ハロルドは将来的に神父になりたいようなので、

メアリにもそういう淡々とした感じで接していることでしょう。

で、この物語は何が言いたいのかと言うと、

実は書いている時はあまりよくわかりませんでした。

と、言うのも当初の執筆時に作者の思想をぐいぐい盛り込んでいたわけですが、

そうすると全然話が進まない上に、超つまらないんですね。

そこで、一度そういうのを排除して、物語の流れに任せることにしました。

と言っても、点となるシーンはもう最後まで決まっていたので、

線をつなぐこと物語を書くことが重点となりました。

当初、古い教えを守る村は貧しいけれど完璧でした。

今までに2度の布教活動を寄せ付けないほどに。

けれど3度目に送られてきた宣教師ランプによって、完璧は崩されます。

宣教師ランプは、聖職者として完璧ではありません。

町で悪事を働き半ば左遷のような形で村へと送られてきます。

この完璧ではない宣教師ランプの登場によって、

村の完璧が完璧でなくなってしまうのです。

しかし、その完璧さゆえに宣教師ランプも初めは何も出来ません。

送られてきた一通の手紙によって、聖職者としてはあるまじき悪事を行なうのです。

村人ゴネットに欲望を吹き込み、布教活動の手助けとします。

今まで村が完璧だったのは、ここに送られてきた聖職者が、

聖職者であるがゆえに他人を追い落とすことをしなかったからです。

しかし、年月がたち、世の中に欲望が満ちてくると、

完璧であった世の中にほころびを生じさせます。

世の中が完璧でなくなれば、村も完璧ではなくなっていきます。

欲望を悪いことだと言う聖職者が欲望に飲まれ、完璧な世界を壊していくのです。

すると、今まで欲望に無縁だった者の中にあっという間に渦に飲まれていくものが出てきます。

ゴネットやメアリのように。

アンゼリカは自然の中に毒があることを知っています。

だからこそ欲望に抵抗力があったのです。

しかし、最後には彼女も自分の中にある欲望(憎しみ)に気がつくのです。

燃える石はリンの化合物かナトリウムか何かかなと思っています。

ちょっと詳しく調べてないので、微妙です。

ランプ神父の隠した手紙に何が書いてあったかは、

いろんな人の想像にお任せしたいので書きません。