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たとえばこんなオオカミ少年 第九場
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第九場
町。暗転幕前。
王様、飛び出してくる。
王様 一体どうしたというのだ。やはりこれはただのボロ布か。
ボロ布を脱ごうとする。
王様 いや、これを脱いでしまったら何も着るものが無いか。こんなものでもないよ
りましか。
村人Ａがやってくる。
王様 おい、お前。服をよこせ。
村人Ａ なんだ？ 乞食が俺に命令するのか？ 王冠なんかかぶりやがって。
王様 わしは王だ。
村人Ａ 王だって？ 乞食の王様か？ そいつは立派なもんだ。
王様 わしはこの国の王だ！
村人Ａ 笑わせるな。お前が王様なら俺は神様だ。
王様 バカにしおって！
村人Ａに飛び掛るが逆にやられてしまう王様。
村人Ａ 神様に逆らおうなんて100年早いわ！
村人Ａ、王様のお尻を蹴飛ばす。
王様 蹴ったな！ このわしを、王を蹴ったな！
村人Ａ おう！ 蹴ってやったぞ！ 悔しかったら神様よりも偉くなってみろ！
王様 覚えておれよ！
王様、走って逃げ出す。村人Ａ高らかに笑う。
村人Ａ 一昨日きやがれ！
親方と村人Ｂが来る。
村人Ｂ 何だどうかしたのか？
村人Ａ へへへ、俺、神様になったんだぞ。
親方 寝言は寝てから言え。
村人Ａ すんません。変な奴がいたもんで。
村人Ｂ ここにか？
村人Ａ ああ。
親方 お前のことだろ？
村人Ｂ あぁ、なるほど。
村人Ａ ひどいなぁ。俺じゃないですよ。なんかね乞食の癖に、俺は王様だーって。
村人Ｂ 乞食の王様か！ あっはっはっは！
親方 その話本当か？
村人Ａ どうしたんです？
村人Ｂ 怖い顔しちゃって。
親方 広場で聞いたんだが、前の王様に良く似た乞食が逃げているらしい。
村人Ａ はぁ。
村人Ｂ 何で逃げてるんですか？
親方 王様の振りをして悪さをしていたらしい。
村人Ａ 悪さ？
親方 お城の金をばら撒いたり、罪人を逃がしたりしたそうだ。
村人Ｂ とんでもない奴ですね。
親方 そいつを捕まえてお城に連れて行けば褒美がもらえるそうだ。
村人Ａ え。
村人Ｂ 本当ですか？
親方 さあな。そいつはどっちに行った？
村人Ａ （王様の去ったほうを指差す）あっちです。
親方 追いかけるぞ！
村人Ｂ 商品はどうしましょう？
親方 よし、お前は一緒に来い。
村人Ａ へい。
村人Ｂ 俺は？
親方 しっかり売って来い。
村人Ｂ やっぱりそうなりますか。
親方 よし行くぞ！
村人Ａ 親方！
親方 なんだ？
村人Ａ いつものアレやらないんですか？
親方 馬鹿野郎！ ふざけてる場合か。しゃんとしろ！
村人ＡＢ しゃん！
村人Ｂ なんだかんだ言ってやるんじゃないですか。
親方 行くぞ！
村人Ａ へい。
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