赤ずきんA面B面。役者の数の都合で少し中身が違う私が書いた話。
はじめはただふざけていただけの話だった。
でもある日、それこそ一週間くらいで書き切るくらいの力が降ってきた。
友達との離別の話となり、手紙を待ち遠しく思う話になった。
少しの冗談を混ぜて。
僕には毎年のように年賀状や誕生日のおめでとうをくれる同級生がいた。
赤ずきんを書いていた年、年賀状が届かなかった。
すぐ後の誕生日のおめでとうもなかった。
返信をなかなか出さないズボラな私の性格のせいでついに呆れられてしまったかと思っていた。
赤ずきんの公演の準備に取り掛かっていた頃、
その友達の訃報を耳にした。
以前から病気でそんなに長く生きられないかもという話を聞いていた。
それでもいつか一緒に舞台をやろうと言った。
年賀状が届かなかったのは、その冬に遠くへ行ってしまったからだった。
その代わりにこの赤ずきんが生まれたような気がした。
この舞台が日本のどこかで行われるたびに僕は君と一緒に舞台をやっているのだ。
年賀状、返せなくてゴメンね。