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荊の王子 第十五場
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第十五場
野バラの城。
女王が走りこんでくる。
女王 どこじゃ？ どこじゃ？ 誰か！ 誰もおらんのか！
居眠り猫が前を通り過ぎる。
女王 居眠り猫。お前か？
居眠り猫 にゃむ。
女王 ギクとはなんじゃ？ やはりお前か？ 本をどこにやった？
居眠り猫 にゃむ。
女王 本は知らないだと？
居眠り猫 にゃむ。
女王 ところで近衛隊長はどこじゃ？
居眠り猫 にゃむ。
女王 何？ 牢屋に入っている？ なぜ？
居眠り猫 にゃむ。
女王 逃げたじゃと！ なぜそれを先に言わぬのじゃ！ そうか、奴ら私の本を盗ん
で逃げたのじゃな！ 許さんぞ！ 見つけ次第、すぐに牢屋に入れてやるわ！
居眠り猫 にゃむ。
女王 他の鍵？ もうよい。近衛隊長は放っておけ。私たちだけで捕まえるぞ。そう
じゃ、蛙の貴婦人を呼ぶのじゃ。貴婦人にも手伝わせよう。それから、ええい。
とにかく呼びに行け！
居眠り猫 にゃむ。
女王去る。居眠り猫、あくびをしながらついていく。
居眠り猫、一人で戻って来てにんまりと笑う。
居眠り猫 にゃむ。
暗転。
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